雑記

わたしを構成するエレカシ

エレファントカシマシ、通称エレカシは1981年結成、1988年にデビューしたロックバンドだ。

メンバーは宮本浩次(ボーカル)、石森敏行(ギター)、高緑成治(ベース)、冨永義之(ドラムス)。2017年には紅白歌合戦に初出場を果たし、椎名林檎や東京スカパラダイスオーケストラとのコラボを発表するなど、デビューから30年以上たった今も精力的に活動している。

 

宮本浩次の突出した歌唱力とパフォーマンスに心を奪われて10年以上。わたしの人生には常にエレカシの歌があった。

数多くの楽曲の中から「わたしを構成するエレカシ」をテーマに7曲ピックアップしてみる。

 

1『パワーインザワールド』

毎日残業をして、職場の先輩たちに誘われては飲みに行く日々を送っていた20代後半。帰宅後は疲れてシャワーを浴びて寝るだけで、休日の定番だったコンパにもいつの間にか呼ばれなくなった。

仕事のキャリアを積むことに満足する一方で、周りが結婚したり出産したりといった知らせを聞くたびに焦りがうまれる。そんなとき、YOUTUBEで偶然目にしたのがエレファントカシマシだった。

 

大ヒットした『今宵の月のように』を思い出しながらクリックしたその動画には『これは冗談じゃねぇ 怒りの歌だ』と声の限り歌い上げる宮本浩次の姿があった。

その圧倒的な力強さと熱気に、息をするのも忘れて見入ってしまった。宮本浩次に、エレカシに恋をした瞬間だった。

 

何度目の太陽だ 何度目の月だ

伊達や酔狂じゃねぇ

パワー・イン・ザ・ワールド

これは冗談じゃねぇ 戦いの歌だ

枯れ果てた大地の一輪の花

 

2『こうして部屋で寝転んでいるとまるで死ぬのを待ってるみたい』

その頃、わたしはいわゆる負け犬だった。結婚どころか彼氏さえできない。ハートが炭になってしまうほど恋焦がれた人には、好きが過ぎて気持ちを伝えることもできなかった。


ある日、女友達と一緒に遊びに行った彼の部屋で、ふと目にしたプラスチックのヘアブラシ。ホテルのアメニティだった。

「あぁそういえば彼女の家の近くには、このホテルがあったっけ」ブラシの意味に気づいて、布団をかぶってわんわん泣いた。

 

もうボクはこの部屋ごと地の底に沈みそう

心も体も溶けてしまって

キミに会いたい

 

3『笑顔の未来へ』

恋愛だけでなく親子関係や人間関係にも行き詰まり、仕事に没頭した。一人暮らしにしては広すぎるリビングのテレビをつけると、聴こえてきたのは『笑顔の未来へ』
正座して画面を見つめる目に、いつの間にか涙があふれていた。

 

一人暮らしの部屋。リビングの真ん中でテレビ画面を見つめて泣く女が一人。ポップすぎてあまり好きでなかったこの曲が、一人ぼっちのわたしに沁みた。

 

愛しい人俺は結構都合よく出来ているんだ

どんな悲しみからもすぐに立ち上がるのさ

あなたが望むなら 俺はいつでも大見栄きって

かっこ良くいたいと思っているよ my little girl

 

4『デーデ』

「よし、ひたちなかにいこう」なんていつかのJRのコピーのような軽いノリで、エレカシを見るため夜行バスに乗り込みROCK IN JAPAN Fesへ行った2008年8月1日。

出発から約10時間後、初めて会った人たちと初めて出かけた場所で、笑っていた。

また来たい。

それからは仕事の日々の隙間が、ライブや東京遠征で埋まった。そのためには何よりお金が必要だ。

 

悲しい事あっても一人きりになっても

金があるじゃないか 金があればいい

 

ライブでは、「金!金!金!」と強調する歌詞に不似合いな軽いメロディに合わせて、観客が笑顔で手拍子をする。ファンでない人から見れば、なかなかにシュールな光景だと思う。

 

5『旅の途中』

人生は何が起こるか本当にわからない。一生独身でいようと準備までしていたのに、結婚することになった。青天の霹靂とはこのことだ。


夫は転勤族。わたしは退職し、夫の転勤に帯同した。転勤生活は楽しかったが、転勤のタイミングや期間は会社の都合次第。ようやく新生活に慣れたと思ったところに、容赦なく異動辞令が出る。先の見えない不安感をいつも抱えて、心が折れるときもあった。

 

喜びは突き刺さる偶然から

風をはらみ 海原向こう行く船のように

人生はいつでも旅の途中 行こう

誰も知らぬ明日に向かって

 

浮き草のように不安定な転勤生活も、旅の途中だと思えば楽しめる。

 

6『ファイティングマン』

子どもが少し成長し、時間にも人手にも余裕が出てくる中で、少しばかりの仕事を始めた。他人と比べて自信を失う時や、すべて投げ捨ててしまいたくなる時は『ファイティングマン』を聴く。

 

自信をすべて失っても 誰かがお前を待ってる oh yeah

お前の力必要さ 俺を俺を力づけろよ

 

7『Easy Go』

剛者(つわもの)どもの夢のあと 21世紀のこの荒野に

愛と喜びの花を咲かせましょう 神様俺はいま人生のどのあたり

そうLet’s go

Easy Easy 転んだらそのままで胸を張れ

涙に滲んだ過去と未来 Oh baby俺は今日も

メシ食ってでかけるぜ

 

最新アルバムに収録されている『Easy Go』で、50歳を超えてなお希望と夢、未来を歌うエレカシ。

年齢を重ねることに焦りや不安を抱くことが多くなってきたけれど、若いときとは違った希望や夢、未来がある。

この先も、エレカシと共に

一人だったときも誰かがそばにいたときも、バリバリのキャリアウーマンだった頃も専業主婦になってからも、エレカシはわたしの孤独に共感し、いらだちを代弁し、鼓舞してくれた。

沼にはまってもう10年、まだ10年。これから先もきっと、わたしのそばにはエレカシがいる。